野辺の送り


一般的に悩みや問題を抱えることは

いけないことのように了解されがちですが、

仏教においては決してそうではありません。

というのも「卑湿淤泥(ひしつおでい)の中に

蓮華を生ずるが如し」と説かれているように、

悩むことは本当に大切なことだと教えられているからです。

確かに日常生活の中で悩んだりすることは

苦しいことに違いありません。

しかしそれは自分の在り方を探し始める

大事な時でもあるのです。

もし不安も悩みもなかったら

間違いなく傲慢で思い上がった生き方になるでしょう。

悩むからこそ人や言葉に出遇えるのであり、

人の痛みも学べるのではないでしょうか。

その意味で悩むことは深く豊かな人生にする

「種」だと思うのです。

願わくばその種を大事に育て、

泥の中にあってもなお美しい蓮の華を

お互い咲かせたいものですね

花水木
能邨勇樹