野辺の送り


ある家のお参りに行った時

その家のお母さんからご相談を受けたことがありました。

お伺いすると子どもが経済的にも自立し、

母親としての責任を終えたということがあったのでしょうか、

ふと我に返った時「心がぽっかり開いたような状態」になったようです。

ある意味「母親」という仕事を

真剣にされた人の言葉だと思い、お聞きしたことです。


仏教ではこの気持ちに限らず

空しいという思いはとても大切にされます。

というのも空しさは酔生夢死の私を「これでいいのか」

と揺り動かすいのちそのもののはたらきだからです。

そのいのちの呼びかけに耳を傾け歩む時、

深くて豊かな生き方が始まるのです

ー野辺の送りー花水木
能邨勇樹