野辺の送り

 

以前子どもさんを亡くされたお母さんと

お話をする機会がありました。

その中でたまたま手にした新聞から、

ある仏教の言葉に出遇い深い感銘を受けたことを

涙ながらに話してくださった姿が

今でも印象深く残っています。

現在ではそのお母さんは生きることの意味を尋ね、

お寺に通われているのですが、

もし何事もなく今日まで過ごされたら、

きっと仏教の言葉に巡り会うことも

お寺に足が向くこともなかったように思うのです。

長い間現実が受容できずに

悩み苦しんできた日々があったからこそ

真の言葉に出遇い、

深く生きている今があるのではないのでしょうか。

 

ー野辺の送りー花水木
能邨勇樹