野辺の送り

 

以前少女の葬儀にお参りしたことがありました。


通夜前日、お祖父さんが


「先のない私が残って、未来のあるこの子が逝くなんて・・・」


と嘆き悲しまれたお姿が今も瞼に焼きついています。


人はこのような厳しい現実に出会うと、


その事実をなかなか受容できずにつらい思いをします。


場合によっては悲しみのあまり我を失ったり、


カルト宗教に引っかかったりする人も少なくありません。


その意味で厳しい現実は人を苦しませ、迷わせるものですが、


しかしまたその現実によって人が深められ、


目覚めさせられることもあるのです。

ー野辺の送りー花水木
能邨勇樹